【書道家が解説】書道・習字の違いとそれぞれのメリット

皆さんはきれいな字を書きたいと思ったことはないですか?

年賀状を書くときや、ご祝儀袋に名前を書くときなど、たまにしか字を書かないので全然きれいに書けなくて、ちょっぴり恥ずかしい気持ちになったことがあるなんて方がいらっしゃるかもしれません。

きれいな字を書けるようになりたいと思ったとき、まず思い浮かぶのが書道教室や習字教室などの習い事に通うことです。

この記事では書道歴24年の書道家として働く私「よしか」が、書道・習字の違いを説明し、書道と習字を学ぶことで得られるメリットを解説します。

こんなに違う!そもそも書道と習字とは?

結論からお伝えすると書道と習字は全くの別ものです。なぜなら書道は字を用いた芸術であり、習字は字を通した学習だからです。

書道は筆と墨と文字を使って、自分の中にある伝えたい想いや感情を表現するものであり、芸術作品として美術館に飾られるものもあります。

一方習字とは、筆や鉛筆、ペン等の色々な筆記具を用いて、文字の正しい書き順や美しい文字を書くための学習です。

書道は字を用いた芸術

そして書道には決められたお手本がありません。書道とは日本古来の筆記用具である筆と墨を使用し、自分の中にある想いや感情を「漢字」や「かな文字」を書いて、自己表現をする芸術です。

もともとは中国の漢字文化を日本に伝えた仏教の僧侶が、書き写しを行う際に美しい文字を追求することから始まりました。

中国から伝わった漢字を書く文化が、日本人の手によって独自の発展を遂げ、現在では日本の伝統文化の1つになったのです。

書や行書、草書といったさまざまな字体やときには古典文学も参考にしながら、自分自身で芸術性に優れた美しい文字を追求していくものなのです。

習字は字を通した学習

一方習字とは文字のとおり字を習うことを意味しており、字の正しい書き順やきれいで美しい字の書き方に重きを置いています。

また使用する筆記用具も筆だけにとどまらず、鉛筆やボールペンなども使用する点が筆と墨を使用する書道とは大きく異なる点です。

日本の伝統文化として確立していった書道が貴族や武士の間で教養として盛んに行われるようになり、その後江戸時代の寺子屋で一般の庶民にも読み書きを習うことが一般的になりました。この寺子屋での筆を使った読み書きの勉強が現代の習字に通じているようです。

また習字ではお手本を見て、正しい書き順でバランスの良いきれいで整った字を書くことが大事であり、書道と比べてとても実用的なものと言えるでしょう。

書道を学ぶことのメリット

書道を学ぶことのメリットは次の3つです。

  • 美しい文字が書けるようになる
  • 発想力や表現力が磨かれる
  • ストレス解消になる

書道に関しては芸術性が高いため、きれいな文字が書けるようになる技術的なところ以外にも、心にもたらすメリットが多くあります。

美しい文字が書けるようになる

書道を習う最大のメリットは、美しい文字が書けるようになることです。

書道では字を書く基本である「とめ」「はね」「はらい」の書き方から学ぶことができます。

自然と美しい文字が書けるようになれば、人から好感も持たれやすく、日常生活から仕事とさまざまな場面で役に立ちます。

発想力や表現力が磨かれる

2つ目にあげられるメリットは、発想力や表現力が磨かれることです。

書道とは字を用いて自分の気持ちや想いを表現する芸術です。芸術であるがゆえに習字とは違い、決まったお手本がありません。

お手本がないということは自分自身でどう表現したら美しい字になるのかを考える必要があります。「一画目の書き出しはどこから書こうか」や「縦線や横線の長さはどのくらいがいいか」「線の強弱をどうつければかっこよく見えるのか」など、ただ文字を書くのではなくさまざまなことを考えることにより発想力や表現力が磨かれていきます。

ストレス解消になる

3つ目のメリットは、ストレス解消になることです。

書道をしていると、文字をきれいに書くという行為一点のみに集中することが出来ます。文字をきれいに書くために集中している時間は日常の雑念を忘れさせてくれるでしょう。

まるで呼吸に意識を集中させる瞑想のように精神を統一し、心を落ち着かせてくれるため、ストレス解消に効果的です。

書く前には頭の中がモヤモヤしていても、いい字が書けると頭の中のモヤモヤが全て無くなりとてもスッキリした気持ちになれます。

習字を学ぶことのメリット

習字を学ぶことのメリットは次の3つです。

  • きれいで正しい文字が書けるようになる
  • 集中力が身につく
  • 観察力が鍛えられる

書道よりも習字は字を正しく・きれいにかけるようになるための学習に重きを置いているため、実用的なメリットが多いです。

きれいで正しい文字が書けるようになる

習字を習う最大のメリットは、きれいで正しい文字が書けるようになることです。

習字では筆だけでなく鉛筆やペン等を用いて文字の「とめ」「はね」「はらい」を正確に書けるようにお手本を見ながら、書き順どおりにきれいでバランスが良い文字を書き写していきます。

くり返し書き写し練習していくことにより、きれいで正しい文字が書けるようになります。

集中力が身につく

2つ目にあげられるメリットは、集中力が身につくことです。

特に筆と墨を用いたりペン字で文字を書いていると、消しゴムが使えません。つまり、途中で書き損じてしまうと手直しすることが出来ず、書き直すしかないのです。

書き直しをしないためには失敗しないように、一字一画に神経を集中させて書かなければなりません。書く文字が多くなれば多くなるほど、より高い集中力が必要となるでしょう。

このように一字一画に集中して行う習字を学ぶことで、自然と高い集中力が身につきます。

観察力が鍛えられる

3つ目のメリットは、観察力が鍛えられることです。

書道と習字の大きな違いとして、習字は必ずお手本を使用します。

習字においては必ずお手本が必要であり、お手本の字をよく見て真似て書く事できれいな文字の習得を目指します。

真似て書くということは、お手本の字をよく観察することが一番重要です。「ここは横線よりも縦線のほうが長いな」や「はねた先はこの位置から書き始めている」時にはお手本に線を引いて「この線からこの線の間で書き終えている」など書き始める前によく観察し自身が書く線のイメージをしっかり持ってから書くことにより、お手本の字をそっくりそのまま書き写すことが出来るようになります。

この書き写すための観察力は文字を書くことだけではなく、絵を真似て描いたりすることや、スポーツなどの体を動かす動きを真似ることにもとても役立ちます。

書道がおすすめな人

書道がおすすめな人は、小さな頃に習字教室に通ったことがあり、筆の扱いが一通りわかる人です。

書道では自分の心の中にある思いや感情を、文字を使って紙の上に表現します。そのため書道教室では文字を書く基礎を教えるよりも、どう書けばもっと自分が表現したいことが伝わるかに重きを置きます。

小学校のころ習っていた習字が面白くないと感じていた人も、大人になって書道を習い始めると、お手本を使用せずに思いのまま書ける自由さに驚く人が多いです。

自身の表現の幅を広めるためや趣味として芸術に触れたい人にとって、書道は最適と言えます。

習字がおすすめな人

習字がおすすめな人は、きれいな字が書けるようになりたい初心者の人です。

習字教室に通えば、筆や鉛筆の正しい持ち方という基礎から丁寧に教えてもらえます。

そしてお手本を書き写すことを繰り返していくことにより、どんな人でもきれいな文字が書けるようになります。

過去に私が通っていた習字教室では、休日は大人の方もたくさん通っていました。

きれいな字が書けるようになりたいけど今更遅いかもと思っている方も、いつから始めても遅くないので、ぜひ挑戦してみてください。

習字はとても実用的なので身に付いた事がすぐに実生活で役立ちます。

まとめ

この記事では書道と習字の違いとそれぞれのメリットについて解説しました。

今回の内容をまとめると、書道とは字を用いた芸術であり、習字は字を通した学習です。

そして書道と習字のそれぞれのメリットは以下のとおりです。

書道を学ぶメリット

  • 美しい文字が書けるようになる
  • 発想力や表現力が磨かれる
  • ストレス解消になる

習字を学ぶメリット

  • きれいで正しい文字が書けるようになる
  • 集中力が身につく
  • 観察力が鍛えられる

自身の芸術性を磨くのであれば書道実用的に字が上手くなりたい場合は習字とご自身の目的によってどちらに挑戦するのか決める際の参考にしてみてください。

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